-
最近の投稿
アーカイブ
カテゴリー
投稿日カレンダー
皆さんこんにちは!
株式会社真栄田組です。
~基本技術~
建設現場では、新しい建物をつくる工事だけでなく、古い構造物の撤去、設備配管のための開口、床や壁の形状調整、改修工事に伴う部分解体など、コンクリートを削ったり壊したりする作業が数多く行われています。
こうした作業を担うのが「斫り工事」です。
斫り工事は、コンクリートを大きく壊すだけの作業と思われることがあります。しかし実際には、残す部分を傷つけず、必要な範囲だけを正確に削る繊細な技術が求められます
力任せに作業すると、予定していない場所までひび割れが広がったり、内部の鉄筋や配管を傷つけたりする可能性があります。そのため、施工前の確認、工具の選定、打撃の角度、削る順序などを細かく考えなければなりません。
今回は、斫り工事の基本となる技術と、職人が現場で行っている工夫についてご紹介します。
目次
斫り工事とは、主にコンクリート、モルタル、ブロック、タイル、石材などを削ったり、部分的に撤去したりする工事です。
建物をすべて取り壊す解体工事とは異なり、残す部分と撤去する部分を見極めながら作業することが多い点が特徴です。
例えば、鉄筋コンクリート造の建物で新しい配管を通すために壁の一部を削る、床の高さを調整する、古いタイルやモルタルを取り除く、柱や梁の補修部分を露出させるといった作業があります。
建物の改修工事では、既存の構造をできるだけ生かしながら施工するため、斫り工事の精度が仕上がりに大きく影響します
必要以上に壊してしまうと、補修範囲が広がり、工期や費用が増える原因になります。一方で、撤去が不十分だと、新しい材料がうまく接着せず、施工後に浮きや剥がれが発生することがあります。
つまり斫り工事では、「壊す技術」と「残す技術」の両方が求められるのです。
斫り作業を始める前には、撤去する範囲や深さを明確にします。
設計図や施工図を確認し、現場へ基準線や作業範囲を表示する作業が墨出しです
墨出しが不正確だと、必要な部分まで削れなかったり、残すべき部分を削ってしまったりします。
開口をつくる場合は、縦横の寸法だけでなく、位置、高さ、周辺設備との距離なども確認します。複数の設備が集まる場所では、数センチのずれが配管やダクトの施工に影響することもあります。
また、斫る深さの確認も重要です。
床の表面だけを削る作業なのか、コンクリート内部まで撤去するのかによって、使用する工具や作業方法が変わります。
作業前に完成形を具体的にイメージし、どこから削り始め、どの順序で進めるかを決めることが、正確な施工につながります。
斫り工事では、作業範囲やコンクリートの厚さ、周辺環境に応じて工具を使い分けます。
小規模な作業や細かな形状調整では、ハンマーやタガネなどの手工具を使用することがあります。
手工具は作業速度こそ限られますが、打撃の強さを細かく調整しやすく、残す部分の近くを慎重に削る場合に適しています。
広い範囲や硬いコンクリートを削る場合には、電動ハンマーや空気圧を利用するブレーカーなどを使用します⚙️
強い工具を使えば作業が必ず早くなるとは限りません。
狭い場所で大型の工具を使用すると、操作しにくくなり、削りすぎや周辺部分の破損につながることがあります。また、工具が重すぎると、作業者の疲労が増え、施工精度が低下する可能性もあります。
施工する場所、撤去量、構造物の状態、周辺への振動などを考え、適切な工具を選ぶことが職人の重要な判断です。
斫り工事では、工具を当てる角度によって、コンクリートの割れ方が変わります。
表面に対して強く垂直に打ち込むと、深く割れやすくなりますが、必要以上に内部へ衝撃が伝わる可能性があります。
表面を薄く削る場合には、工具をやや寝かせ、材料をはがすように打撃を加えます。
一度に大きく壊そうとするのではなく、端部から少しずつ削ることで、ひび割れの広がりを抑えられます
特に仕上げ面の近くでは、打撃を弱め、細かな工具へ持ち替えることが重要です。
斫り工事の経験が豊富な職人は、工具から手へ伝わる感覚や音の変化によって、コンクリートの硬さや内部の状態を判断します。
同じ場所を削っていても、内部に鉄筋や異なる材料があると、音や振動の感触が変わることがあります。
機械の力だけに頼らず、目、耳、手の感覚を使いながら作業することが、斫り職人の技術です
厚いコンクリートを斫る場合、いきなり中央部分へ強い打撃を加えると、周辺へ衝撃が広がりやすくなります。
そこで、撤去範囲の端部や割れやすい場所から作業を始め、コンクリートが動ける空間をつくります。
コンクリートの一部に逃げ道ができると、その方向へ割れやすくなり、必要な範囲を効率よく撤去できます。
必要に応じて、カッターなどで撤去範囲の境界へ切り込みを入れてから斫る方法もあります。
切り込みを設けることで、ひび割れが残す側へ広がることを抑え、境界をきれいに仕上げやすくなります✨
ただし、切り込みの深さや位置を誤ると、鉄筋や埋設物を傷つける可能性があります。事前の調査と確認が欠かせません。
斫り工事は、広い場所だけで行われるわけではありません。
床下、天井裏、機械の周辺、壁際、階段の下など、姿勢を自由に変えにくい場所でも作業します。
狭い場所では、工具を振り回すことができず、作業者自身が工具の反動を受けやすくなります。
そのため、小型の工具を使用したり、作業姿勢を安定させたりしながら、無理のない方法で施工します。
足場が不安定な状態や、腕を上げ続ける姿勢では、疲労によって工具の制御が難しくなります。
作業場所を整理し、足元を確保することも斫り技術の一部です
工具を正しく使うだけでなく、作業しやすい環境をつくることが、安全性と品質の向上につながります。
必要な範囲を撤去した後は、残った破片や粉じんを取り除き、施工面を整えます。
新しいモルタルや補修材を施工する場合、脆くなったコンクリートや粉が残っていると、接着力が低下する可能性があります。
ワイヤーブラシや集じん機などを使い、浮いている部分や細かな粉を除去します。
形状を確認し、出っ張りがあれば細かく調整します。
配管を通すための溝であれば、必要な幅と深さが確保されているか、鋭い角によって配管を傷つけるおそれがないかを確認します。
斫り終わった瞬間が完成ではありません。
次の工程を担当する職人が作業しやすい状態へ整えることまでが、斫り工事の仕事です
改修現場では、すでに使用されている建物の中で斫り工事を行うことがあります。
床、壁、扉、設備機器などを傷つけないように、作業前に養生を行います。
斫ったコンクリートの破片は、予想以上に遠くへ飛ぶことがあります。小さな破片でも、ガラスや仕上げ材へ当たれば傷の原因になります。
養生シートや板材などで周囲を保護し、作業範囲を区切ります。
粉じんが他の部屋へ広がらないように、出入口や換気経路へ配慮することも必要です。
養生の丁寧さは、作業後の清掃時間や建物利用者への影響を大きく左右します
斫り工事は、コンクリートを単に壊す作業ではありません。
施工範囲を正確に確認し、適切な工具を選び、打撃の角度や力を調整しながら、必要な部分だけを撤去する専門工事です。
職人には、図面を読み取る力、工具を扱う技術、材料の状態を判断する感覚、次の工程を考える視点が求められます。
建物の見えない部分を整え、改修や設備工事を進めるための道をつくることが、斫り工事の大切な役割です。
正確で丁寧な斫り技術があるからこそ、建物を生かしながら新しい機能を加える工事が実現できるのです✨